高齢者の万引きが多いのは万引きGメンのせい？ ～万引きGメンの実態～

 「ほんと高齢者の万引きって増えたよな～。最近の年寄りは頭おかしいんじゃね？」
と、思った方へ向けての記事になります。

結論から言うと

万引きは年齢関係なくみんなやっている

ということになります。

実は2018年春から短期間だけ万引きGメン(店内保安員・私服保安員)のアルバイトをしたことがあったのですが、確かに私もバイトをする前は高齢者の万引き犯が圧倒的に多いと思っていました。

何故、高齢者の万引き犯が増えているのか万引きGメンの実態も含め詳しくお話していきたいと思います。

http://www.garbagenews.net/archives/2064626.html
未成年者と高齢者の万引き推移をグラフ化してみる(最新) - ガベージニュース]

求人サイトで万引きGメン求人広告を見て応募しましたが、まさかこんな職歴もない44歳ニートが採用されるわけないだろうとダメ元で都内の警備会社に面接に行きました。

都内の中心地にあるはずなのにビルは古いですし、ドアにはインターホンもなく、部屋はタバコの臭いプンプン、トイレは和式で昭和テイスト満載の事務所に大柄な社員一人。

怪しい雰囲気にビビりましたが後日採用の連絡が来て、まず研修という形の座談講習を3日間受けました。

そこで聞いた話に色々と衝撃を受けます。

ニュース番組で万引きGメンVS悪質万引き犯みたいな戦いを面白おかしく放送していますが、実際は何日にも渡って取材が行われていてGメンの人は数日間ずっと同じ服でやってくださいと言われるらしいです(笑)

あの映像を見ると毎日のように何人も捕まえているように見えますよね？でも実際は逮捕できる日のほうが珍しく、大抵は店内を一日歩き回るだけで終わってしまいます。

店長によっては逮捕できない日は色々と嫌味を言ってくるらしいですが、何週間かに一日しか入らない店がほとんどなのに、その日に万引き犯が来てくれなければこっちも捕まえようがないと社員さんは嘆いていました(;^ω^)

でも本当に万引き犯っていないの？
Gメンが見逃してるだけじゃないの？

と、そのとき思ったのですが現実はこんな感じでした。

・万引きを見ても捕まえられない

「えっ？なんで目の前で万引きしてるのに捕まえられないの？」
と思いますよね？

ここで万引きGメンがガチガチのルールで縛られていることを教わります。

現行犯で逮捕する為の基本ルール
・商品を店の棚から手で取る瞬間を確認する
・犯人に気づかれないよう尾行し商品を服やバッグに隠す瞬間を確認
・その隠し場所から一度も目をそらさず犯人がレジを通ることなく店を出るまで尾行

このどれか一つでも欠ければ現行犯逮捕してはいけないという原則があります。

更に厄介なのは、この商品を万引きする一連の行為を一度の確認だけでは逮捕してはいけないということです。

全ては誤認逮捕の防止という観点からですが、一度ハッキリと上記の万引きを現認したのに逮捕できないもどかしさ。
二度続けて万引きしてくれることを待つしかありません。

【現行犯逮捕できない例】
・キョロキョロと周囲を見回している怪しい人がいたから見ていたらカゴから商品を何個も自分のリュックサックに入れた瞬間を目撃し、そのまま退店
↓
棚から商品を取る瞬間を確認していない為、すでにレジを通した商品である可能性があり万引き犯だと特定できないので逮捕できない。

・商品を棚から取り、ポケットに入れたのを確認し尾行。時折後ろを振り返るような仕草をしてきたが、商品を見る客のふりをし、なんとか店の外に出るまで尾行できた
↓
商品を見ている間に隠し場所を見失っている。
犯人が万引きGメンに気づき、商品を棚に戻し店外に出た可能性もあり逮捕できない。

・店に入ってきて、そのまま商品をバッグに入れ、すぐに帰った
↓
一度だけなので逮捕できない。

こんなのアリかよって感じじゃないですか？

しかしながら誤認逮捕してしまうと、間違えられたほうは大激怒しますよね。
まず万引きGメンが謝り、なんとか事務所に来てもらうように頭を下げます。
そして店長と一緒に謝り、会社に電話し社員さんが後日自宅まで謝罪に伺うところまでいきます。

店長からは金払って雇っているのに大切なお客様を犯人扱いし店の評判を落としやがったと激怒されるので、それもまた謝罪(謝罪だけで済めばいいのですが…)

こんな大問題になってしまうので、ルールでガチガチに固めているわけです。

そこでようやくタイトルの話に戻ります。
ここまでお話したので、わかる方も多いと思いますが、要するにこんな厳しいルールがある中、逮捕されちゃうのはどんな人？ってことです。

決してバカにするわけではないですが、お年寄りというのは万引きするときにバレやすいです。

お客さんは商品を見る視点で顔が動きますが万引き犯は店員など人を見ているので、商品を見るキョロキョロとは違う視点の動きをしています。

お年寄りはその動きをしているときに人を見ているとは思いますが、視力や注意力に欠けているのでスーパーの端から見ている遠くのGメンの存在には気づかないことが多いです。

そして動き自体が若者と比べゆっくりなので見やすいのと、罪悪感が薄いのか、警戒心が低いのか、はたまた欲張りなのかわかりませんが二回以上万引きしてくれることが多いです。

なので結論は

「万引きするのが高齢者ばかりなのではなく、万引きＧメンが逮捕しやすいのが高齢者ということになります」

http://www.garbagenews.net/archives/2064626.html
未成年者と高齢者の万引き推移をグラフ化してみる(最新) - ガベージニュース]

反対にお年寄りと比べ若者の万引きはバレにくいです。
基本的に警戒心がとても強く、行動する瞬間のスピードも速いので、取る瞬間、隠す瞬間、歩くスピードで隠し場所を見失う数秒間を作られてしまうことが多く、またヒット＆アウェイのように入ってきて一度だけ盗んで素早く退店することもあるのでルール通りだと逮捕しづらいのが現状です。

社員さんからは1年捕まえられなくても何の問題もないと言われました。
それほど新人は捕まえられないらしいです。
新人に圧力かけた挙句、焦って誤認逮捕なんてされたら大変なのが一番の理由だとは思いますが(;^ω^)

ただ私の場合は運よく？一週間ほどで現行犯逮捕することができました。
スーパーでホームレスっぽいおじいさんが次々と商品を服の中に入れていったので尾行したのですが、前を向いた瞬間にビックリ！

ギャグマンガ並みに服の中が膨れ上がっていたのです(笑)

いやいや、これバレないほうがおかしいでしょ、とツッコミたくなるくらい。
私のへたくそ尾行にも気づかず店の外へ。

そして現行犯逮捕し事務所に連れて行き警察を呼んだのですが、ここで怒られたのはなんと私のほうです…

初めての万引き目撃と逮捕しなきゃという気持ちで心臓バクバクのパニック状態。
警察官に、何時に、どこのコーナーで、どっちの手で、どこに隠して、など状況を聞かれたのですが正確に思い出せず、「〇〇だったと思います。」と答えていると、

「だったと思いますじゃダメなんだよ！正確に言ってくれないと！」

と、警察官に激怒されてしまいました…

監視カメラを確認しようにも店長が使い方よくわからず、結局犯行の瞬間がどこかも調べられないまま、生活保護受給者で、そういう施設に住んでいる人だったこともあり本人は犯行を認めていましたが店長が逮捕しなくていいやとなり、管理者呼んでお金払ってもらいそのまま帰しました。

このようなお年寄りもいますし、何より万引きが多いスーパーの年齢層というのは圧倒的に中高年齢者が多いので必然的に万引き犯の年齢層も高くなる傾向があります。

私は他にも薬局やハ〇ズなどにも入りましたが、ハ〇ズではギャル男が店に入ってきて何食わぬ顔で男性用化粧品コーナーから商品を手に持ちバッグに入れ帰っていきました。

当然、一度の犯行だけなので逮捕できず、悔しさ満載ですが、そのまま見送るしかできませんでした。

社員さんからは絶対に万引きGメンだとバレないよう徹底的に教育されます。
万引き犯をそのまま見送りたくないから、何かサイン出して警戒させ商品を戻してもらおうと思っても、次から犯人は万引きGメンの顔がわかってしまうので結果的にその犯人を逮捕することができません。

何よりこの仕事にとって万引き防止や万引きを未遂に終わらせることなんて全くの無意味なのです。
怪しい人物をしつこくマークしたおかげで万引きせず、その日は帰るかもしれませんが後日来て引き続き盗んでいくだけです。

そして店側にとっても万引き防止などは曖昧でハッキリとわからないものなので、評価するのは万引き犯を逮捕した人数だけです。

逮捕した数だけで万引きGメンの評価が決まり、万引きを防止し、その日は誰も悪にならない幸せな日を作ったとしても何の評価もされません。

「たくさん逮捕しなきゃいけないけど誤認逮捕が怖すぎる」
こんな中で万引きGメンは日々戦っています。

※あくまで私の個人の見解なのでご了承ください。